秒単位での的確な判断と行動が求められる医療現場において、看護師は常に緊張感を持って業務にあたっています。しかし、多忙な時間帯や緊急の対応が重なった際など、どれほど注意を払っていてもヒヤリハットが発生してしまう可能性はゼロではありません。重大な医療事故を未然に防ぐには、個人の注意や責任感だけに頼るのではなく、組織全体で防犯や安全の対策を徹底することが不可欠です。
インシデントの中でも特に発生しやすいのが、内服薬の与薬ミスや点滴の指示違い、患者の転倒や転落などです。これらを防止する最も基本的な対策は、ルーティンワークにおける確認作業の遂行にあります。患者の氏名や生年月日、薬剤の名称、投与量、時間、方法などを一つひとつ指差し呼称しながらダブルチェックする習慣を身につけることが基本です。慣れによる油断が生じやすい単純な作業ほど、ルールを厳格に守る姿勢が求められるでしょう。また、少しでも疑問や違和感を覚えた際は自己判断で進めず、同僚や医師に確認を求める姿勢が医療安全の根幹を支えます。
万が一、ミスが発生しそうになった、あるいは発生してしまった場合は、それを隠さずにインシデントレポートとして速やかに報告することが不可欠です。レポートの目的は個人の責任を追及することではなく、発生した原因を客観的に分析し、再発防止策を職場全体で共有することにあります。ミスを隠さず共有し合える風通しの良い環境こそが、結果として患者の安全を守るのです。日頃から安全に対する高い意識を持ち、ルールを厳守して業務に臨むことが患者の命を守り、自身を守ることにもつながります。